友が逝く。

女房がデパートの地下で弁当と高野豆腐を買って帰


ってきた。


この弁当屋の高野豆腐は、亡き母の味に近い絶妙な


味付けで、本当に美味しい。


この弁当屋の経営者は、私より一才年下の幼なじみ。





最近はお互いに忙しく全く会っていない。


何気なく電話を手にする。


久しぶりだ、元気でいるだろうか。



電話に出たのは会社の事務員さん。


「実は、社長は亡くなりました」


しばし声が出てこない。


電話を持って体が固まっている。


「高野豆腐が美味しくてね、それで・・・
 元気だと思って電話したんです・・・」


我が声が振るえて、会話にならない。


「お墓にお線香と献花をさせて戴きたいのだが、お墓の場所は」


事務員さんは・・・・・しばし沈黙



何か他人には言えない事情が有るのだろう。



また、一人友が静かに逝く。



ご冥福を祈る。



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